冷却療法と温熱療法
(冷却療法と温熱療法の功罪)

 1 冷却と温熱療法の功罪 
 筋肉等を傷めたとき、冷すべきか、それとも温めるべきか、とよく質問を うけることがあります。一般的には、傷めた直後は冷却し、その他の場合 は温めるのがよいとされていますが、それぞれ功罪があり一概にはいえ ません。下記@、A項にそれぞれの功罪を挙げてみました。

  @ 冷却療法の評価…10〜15分程度冷却
<一時評価(冷却時)>
  ・ 血管収縮
  ・ 浮腫が現象(功)
  ・ 炎症抑制(功)
  ・ 麻酔効果:痙攣性の痛みに効果(功)
  ・ 活性酸素発生の抑制(功)
  ・ 冷却効果が深部まで達する(功)
  ・ 新陳代謝の減衰(罪)
  ・ 凍傷の危険性(罪)
<二次評価(冷却後)>
  ・ 血管拡張効果
  ・ 一時冷却後数分で局所温度が上昇その評価は温熱療法にほぼ 同じです。ただし、温熱に比べ深部まで到達するとされています。

  A 温熱療法の評価…10〜15分程度温熱
  ・新代謝の亢進(功)
  ・免疫系の活性化(功)
  ・血液濃縮(罪)
  ・活性酸素増(罪)
  ・疲労物質の蓄積(罪)
  ・一時的リンパの停滞(罪)
<二次評価(温熱後)>
  ・リバウンドで筋(皮膚)温低下(罪)

  注意: 功・罪は筋肉の疲労や損傷に対して評価をしてみましたが、      対象が違う場合は必ずしもイコールとはなりません。

2 冷却か温熱療法かの判断

  @ 冷却療法
  ・ 打撲、捻挫等の直後。(腫れや内出血を防ぐ)
  ・ 運動等で筋肉が炎症(オーバーヒート)をおこしている場合。(過剰    反応を抑える)
  ・ 筋肉の痙攣による場合。(痙攣は冷却により麻痺させることで弛     緩)
  ・ 強い炎症(疼痛)がある場合。(痛覚神経を鎮静)
  ・ 対象部位が深部の場合。
  ・ 温熱療法のリバウンドである二次的筋温低下が抑制できない顔     面など。

  A 温熱療法…冷却療法により凍傷の危険がある部位
  ・ 対象範囲が広い場合。
  ・ 冷え性の方の四肢。
  ・ 内腿等の皮膚が柔らかい部位。
  ・ 就眠直前。

 冷却療法と温熱療法の具体的参考例

1 対象範囲
 痛めた箇所に関連した部位のすべてを対象とします。

2 冷却か温熱療法の判断
 「冷却療法と温熱療法」の「冷却か温熱療法の判断」の項を参照。

3 冷却、温熱時間及び頻度
  @ 冷却、温熱時間は10分から15分の範囲を目安とします。 
    但し、湯船に浸かって、温熱シャワーを利用する場合は、5分程度     とします。
  A 冷却、温熱の頻度は一日1〜6回程度とします。但し、痛みが強     いときは、半時ごとに冷却を繰り返します。

4 冷却、温熱の方法
  冷却:「氷」、「保冷剤」等で冷却。直接肌にはあてず薄いハンカチな   どをはさむ。
 温熱:
  @ 熱めの温熱シャワーが効果的。
  A 熱いお湯に浸したタオルをよく絞り、直接対象部位にあて、サラ     ンラップやアルミホイルで覆い、更に毛布等をかけ保温する。

5 具体例(手法例)
  @ 打身、捻挫(手首の例):(温、冷)
   指先から肘まで満遍なく温水シャワーをかけながら、痛くない範囲     で手を開いたり、手首を回転させたりします。冷却の場合は氷等で    発痛部位を冷却します。

  A 肩こり、寝違えの場合:(温)
   湯船に正座で浸かり(下半身浴)、両肩に満遍なく温水シャワーを     かけながら、痛くない範囲でゆっくりと肩を動かします。

  B 腰痛の場合:(温)
   湯船に正座で浸かり、痛くない範囲でゆっくりと腰を前後左右に振     (捻)ります。

  C 坐骨神経痛:冷却
   痛い側の腰部(10〜15分)及び臀部(10〜15分)を交互に冷却し    ます。

  D 頭痛(特に神経系、リンパ系、筋肉系の頭痛):(冷)
   以下の部位を連続冷却します。特に冷却の順位はありません。
  ・ 後頸部(偏頭痛であれば痛い側の頸椎1番:後頭骨下部)を10〜    15分冷却
  ・ 前頸部(偏頭痛であれば痛い側の頸動脈:顎の下部)を10〜15    分冷却
  ・ 前頭部(偏頭痛であれば痛い側の額)を10〜15分冷却

6 注意点
  ・ 長時間の連続的な冷却や温熱は避けてください。「功罪」の「罪」    が勝てしまいます。
  ・ 食事の直前、直後は、胃の消化力を妨げてしまうので避けたほう    がよいでしょう。
  ・ 温熱療法の後は、リバウンドで冷えてしまわないよう、タオル等を    あて、できるだけポカポカの状態を保ってください。特に患部の細胞    の修復は深夜から早朝にかけて行われることから、患部を寝冷えさ    せないように注意してください。そのポカポカが治癒力を高めます。
  ・ 冷却療法を行う場合は凍傷に注意してください。


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